杉の木の贈り物今日は、コウ誕生の秘話(?)を書いてみようと思う。今から7年前、私は下腹部にものすごい痛みを感じ、婦人科の門をくぐった。 結果「子宮内膜症」。この現状では、将来妊娠を考えるには、かなり難しいとの判断。 ピル服用の治療をすすめられた。 当時、一度目の結婚に失敗をし、自ら生計を立てていくしかなかった私にとって、ピルの副作用は、とても受け入られるものではなかった。 考えた挙句、治療を断念。しかし、将来子供を生むことはできないかもしれないという事実は、私にとって計り知れない苦痛となった。 次々誕生する、友人の子供たち・・・ 祝福する気持ちとうらはらに、落ち込む毎日を過ごしていた。 今の主人とは、もう20年以上の付き合いである。 巡りめぐって、6年前、同居を始めた。 それから1年後、私は両親と共に箱根へ旅行に出かけた。 副収入が入ったこともあり、両親への親孝行のつもりだった。 その日は、あいにくの雨・・・ こちらへの滞在中、10月だというのに30度を超すようなお天気が続いていたというのに、なんてこと???これじゃあ、富士山も見られない・・・ 予定を変更することもできないので、ひとまずロマンスカーで箱根の地へ。 タクシーのガイドで、名所を渡り歩いた。 そんなツアーも終盤にさしかかったころ、私たちは箱根神社に到着した。 風もなく、霧雨が降りしきる中に見た箱根神社は、格別趣のあるものだった。 「こんな情景も悪くないね」 そんな話を両親とかわした。 そのとき、私は何かに吸い寄せられる様な心持で、杉の木の群集へ入っていった。 まっすぐ伸びた木々を見上げると、霧雨がその木々を包み込むかのように降り注ぎ、 私は、傘をさすことも忘れて、その幻想的な景色に見入ってしまった。 その木々の生命力が、私の体の中に入っていくように、体中が熱くなったことを今でも覚えている。 そんな不思議な体験も、すっかり忘れてしまっていた5ヵ月後、私はコウを妊娠した。 自然妊娠だった。 妊娠中は、ひどいつわりと貧血、便秘・・・胎動が始まってからは、1日中動き回るお腹の赤ちゃんに睡眠もさまたげられ、決して容易な日々ではなかった。 妊娠8ヶ月の頃、主人に誘われて、生田緑地に初めて散歩にでかけた。 こんなに近くにいるのに、仕事を続けていた私は、それまで足を踏み入れることさえなかったのだ。 緑に囲まれた、その巨大な森林公園は、本当に気持ちが良く、久しぶりにリフレッシュができた。 そして、杉の木の坂道を歩き始めたとき、私は、この情景を箱根の杉の木の群集とだぶらせた。 そのとき、ふっと思ったのだ。 「この子は、杉の木が授けてくれたに違いない」 そう思ったら、また箱根へ行きたくなってしまい、渋る主人を説き伏せて、1泊2日の旅行へ出かけることに。 その当日は、澄みわたるような青空。 前回の雰囲気とは全く異なる景色ではあったが、その光景に懐かしさを感じた。 安産祈願を箱根神社へお願いし、祈祷をしていただいた方(なんとお呼びするんでしょう?)と少しお話をさせていただいた。 「お母さんも、生まれてくるお子さんも八白土星の巳年。偶然ですが、この箱根神社の神主も八白土星の巳年なんですよ」 その言葉を聞いた時、やはり、この子はこの地が授けてくれたのだと確信したのだ。 そして、その子も3歳・・・ 今度は3人揃って、またあの杉の木に会いにいこう・・・(2005.3.28) ジャンル別一覧
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